旅人がゆく
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 インターネット&メールによって旅がどれだけ楽になったかわからない。時差を気にせず家族と簡単に連絡がとれ、日本の情報は手にとるようにわかる。私が留学中はそんなものはなかったので「モーニング娘」を知るのにデビュー後1年間ぐらい本気で知らなかった。
 便利さとは裏腹に旅をつまらなくさせてしまったのもインターネット&メールなのは確か。アンコールワットの入場料からヨーロッパの鉄道時刻まで何からなにまでインターネットで調べることができる。最近では携帯電話をもって旅ができるそうだ。ストレスがない分思い出も薄い。旅はスポーツに近いかもしれない。つらい部活の思い出は心に強く残っているはずだ。
 インターネットがなかった時、旅人はどうしていたかというとひたすら現地の言葉を勉強した。現地の言葉で質問しないとわからないことが多すぎた。まず、挨拶、ありがとうとごめんなさい。質問の仕方全般、どこ?誰?何?いくら?など。ちょっとした形容詞、(値段が)高い、安いなど。それから1から10までの数字と使われている通貨の単位によっては25,50、100、1000、10000ぐらいまで覚えた。数字は大抵組み合わせれば通じるので2と10000を一緒に言うとなんとなく20000だろうという感じで話すことができた。どうしても悪さをするインド人に文句を言いたいからヒンディー語のスラングを覚える人も結構いたと思う。実際現地の言葉でスラングを言うと
「何で外国人がこんな言葉知っているんだ?」
と驚かれ文句を言うつもりが逆に友好を深める結果となる。だから旅は楽しい。
留学中に言語を教わった先生いわく
「スラングとか汚い言葉をたくさん覚えなさい。辞書に載っていない言葉こそその国の本質をついている」のだそうだ。
 実際のところは辞書に載っていない言葉は現地の人に聞くしか方法がなく、また聞かれた方も変な責任を感じていろいろ教えてくれる。まじめな人に聞いてもおもしろくないのでちょっと落ちこぼれ風の人に聞くと半日は遊べる。なんとなくスラングを使えるようになると人との、その国との距離が短くなる。
 スラングはともかく国境を越える前にがんばって次の国の言葉を一生懸命覚えた。
 最近の長期旅行で私はインターネットを駆使していた。現地の言葉はまったく覚えなかった。覚える必要がなかった。メールのやりとりで安い宿、物価、移動手段など行く前からわかるからだ。旅というより情報が正しいか確認業務をしているような錯覚にとらわれる。現地の言葉を覚えようとするのだがどうにもやる気がでなかった。もう旅(長期旅行)は今回で終わりだと決めた。
 いろいろな旅のスタイルがある。便利なのも外国人だけで集まってわいわいやるのも非常に楽しい。ただ、イブン・バトゥータや玄奘、マルコ・ポーロなど昔の旅人に惹かれるのも事実で便利になればなるほど旅の魅力は薄れる。恋人にメールではなく毎日日記を書き1週間に1回郵便で送っている男がいた。かっこよいと心から思った。
 私はデジカメで撮った写真をひたすらメールで家族や友人に送った。それがよかったか悪かったかはよくわからない。
 こんな偉そうなことを書いてもメルマガ自体、インターネットでしか読めないのだけれど・・・・。

 最近、旅で会った友人と東京で飲むことがある。必ず話に出るのが【もしもう一回旅に出たら・・・】 大抵の答えはこうなる「遺跡には絶対行かない。何もない普通の町を散歩して、市場に行って現地の人が普通に振舞っているところを旅したい。」