前号で、片道航空券を使い、ビザが免除されている国に入国する場合の話をした。たとえばタイ。タイは日本人には、ビザなしで30日の滞在を許可してくれるが、その条件に往復航空券、つまりタイから出国する航空券が必要になる。そのあたりは、アバウトな部分もあり悩ましい問題もあるのだった。
しかしさらに面倒なことは、陸路で入国して、陸路で出国する場合である。世界の国々は、ビザに関するルールを多数派に合わせているのだろうか。つまり、飛行機を利用する人々である。たしかに陸路派は少数派かもしれないが……。
陸路移動の旅になると、ビザ免除ルールが崩れてしまう。だいたい航空券とは無縁なのだから、出国用航空券などといわれても困るのである。
これまでいくつかの国に陸路で入国し、陸路で出国してきた。
その国を列記すると以下になる。
中国(日本からは船だが、出国は陸路)、ベトナム、カンボジア、タイ、ラオス、マレーシア、バングラデシュ、インド、パキスタン、イラン、トルコ、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン(出国は船)、アゼルバイジャン、グルジア、モンゴル、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス。
このうち西欧を除き、一定期間ビザが免除されているのは、中国、ベトナム、タイ、マレーシア、トルコぐらいだろうか。
それらの国を僕は陸路で通過してきた。
結論からいうと、なんの問題もなかった。少なくとも、いままで、出国用の航空券をもっていないからといって、入国できなかったことは1回もない。いや、実をいうと、国境では、その種の会話は交わされたことがないという実情である。
タイはしばしば、陸路で入国したり、出国しているので要領はわかっている。しかしベトナムなどとなると、少し気をもむ。ベトナムには、たしかに出国用航空券をもっていることという一項がビザ免除に含まれている。しかしイミグレーションで、それを聞くというのは「ヤブヘビ」だと思う。向こうにしても、
「そういうルールはあるんだけど、陸路の人は大目に見てるからね」
ということかもしれないし、職員によっては、そんなルールも知らないかもしれない。そこでルールを口にすることは、どこか寝た子を起こすようなところがあるのだ。
陸路派の旅行者は、そっと入国し、いったん入国したら、大きな顔で進み、再びそっと出国することがいいのではないかと思うのだ。国境ではできるだけ、なにも知らない無知な旅行者を装うことである。
しかしそう断言できない国がある。ラオスである。ビザが免除になってから、タイのノンカイから入国し、ノンカイに出国したことはある。しかし、タイから入ってベトナムとか、中国というルートを歩いていない。かつて、ビザが必要だった時代、タイから入って中国に抜けた。そのとき、ラオスを出国するイミグレーションで5ドルを要求されたことがある。その職員が知っている英語で、いちばん大きな数字が「5」だった気がしないでもなかったが。
【下川からひと言】
最近、ラオスに陸路で入って、陸路で抜けたことがある人がいたら、その様子、知りたいところです。
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